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そして、1時間後、、、。
「ごめん、、、またちょっと眠くなってきちゃった、、、」
すごく眠そうな、泣きそうな顔で俺を見つめてくる。
「気にすんな、もうすぐ帰らないといけない時間だから、目が覚めたら続き観な」
俺は手のひらを美奈の目に覆いかぶせた。
今の俺の顔を美奈には見せたくなかった。
「うん、ありがとね。手温かいね、、、すごく落ち着く、、、退院したら絶対、、映画館で、、、、一緒に、、、」
そう言い掛けて眠ってしまった。
美奈が寝た瞬間、力が抜けて病院の床に崩れ落ちた、、、。
退院、、、ありえないこと、映画館、、、夢のまた夢、、、。
自分が長くないことを、美奈はわかっているのだろうか?
美奈がいなくなるなんて全く実感がわかないが、すぐそこに迫っているのもまた事実、、、。
俺は美奈の布団を綺麗に直し、逃げるように病室を出た。
向かったのは病院の屋上、、、。ここからは俺と美奈の住んでいる町が一望できる。もちろん、俺と美奈の通っている学校も見える。
美奈の席はもう半年も空いていた。
いつものように、フェンスに寄り掛かり昔のことを思い出す。きっと俺はこうやって美奈の死を受け入れる準備をしているのだろう、、、。
思い出すのは美奈との出会い、、、
あれは2年前か、、、
高校の入学式、、、初日から美奈のせいで遅刻したんだっけか、、、
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