196人が本棚に入れています
本棚に追加
タケルはビクビク震えながら泣いた。流れ出した涙は止まるどころか、さらに流れた。
(くそぉ……し、死にたくないよぉ。か、母ちゃん……。)
タケルが泣き出したのを見ると、またイラッと来たのか、先程の忍がクナイを構えた。
『餓鬼ぃ~、少しでも声を出してみろ。その首はねるぞ?』
タケルは震えた両手で口を塞(ふさ)ぐ。
自分が結局は殺されるとわかっていても、少しでも長く、長く生きていれば運命に逆らえるかもしれない。
小さいながら本能的にそのことがタケルにはわかっていた。
そんなことを今まさに考えていた時、それを見透かすかのように、忍が発(はっ)した言葉は余りにも残酷であった……。
『お前……死ぬかぁ?情報収集はそこの髭(ヒゲ)の生えた餓鬼“一人で充分”だ。
おいっ、ソイツいい加減起こせ!コイツの死様(しにざま)を晒(さら)してやる、ヘッヘッヘッ!!』
他の忍によって、ナルトは意識を取り戻す。
目を開けたその前には小さな頭……そして首にクナイを突き付けられているタケルの姿が、ナルトの目に映る。
『た……タケ…ル…!?たっタケルー!!』
ナルトは目の前の光景に驚き、思わず叫ぶ。
『な…ナルト……。』
『おい餓鬼ぃ。これからしばらくお前に聞き出さなきゃならないことがある。
だが残念ながらコイツには用がない。お前がこれから見る“モノ”はお前と全く無関係なんかじゃない。
オレ達の質問に素直に答えなければ同じことになるだろう。
大人しく答えるならお前だけは家に帰してやる……(もちろん聞き出した後には始末するがな。)』
そう言い終えると、クナイを握る手に力が入る。
それがわかり、タケルは壊れるように叫んだ。
『た、助けてぇ。助けてよぉー!死にたくない、死にたくないよぉー!!ナルトぉぉおー!!!』
『タケルー!!!』
最初のコメントを投稿しよう!