第二章

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 そもそも、少女という表現が正しいのかすら判断がつかない。少女という言葉が人外の者にも適用されるかどうかによるだろう。  何しろ来訪者には、額の上辺りの左右に小さくて可愛らしい角が二本生えていたし、背中には、これも人にはないはずの器官、漆黒の翼が存在していた。蝙蝠のそれを模写したかのような飛膜状の双翼の造詣はいかにもリアルで、膜の部分を這う血管などを見ても造り物めいた印象はまったくない。絵に描いたような悪魔がそこにいた。  容貌も人を魅了して騙す悪魔らしく、綺麗に整った顔立ち。額の角と背中の翼を考慮しなければ、十代半ばに見える女の子は美少女という形容がぴたりと当てはまった。
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