第二章

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 服装はというと、世に言うゴスロリファッションだ。丸首の襟にも腕にもフリルの入ったブラウスと、ウエスト部分に編み上げがあるフリルスカート、首には白薔薇にリボンをつけたチョーカーが。どれもこれも純白で、背中の黒翼との対比で目に痛いくらい綺麗だった。  異世界から現れたかのような少女に、歩は呆然と見入っていた。 「初めまして新藤さん! あ、それとも、『歩くん』て呼んでいいですか? いいですよね、よし! では歩くんと呼ばせてもらうとして……改めて初めまして! 悪魔だけど天使になりたくて、そのために歩くんを幸せに導きに来たカグヤです! どぞ、夜露死苦!」  悪魔の少女、カグヤは、まくしたてるように一息に言った。はつらつと初対面の挨拶を繰り出した彼女に対して、歩はただ沈黙を投げかけるばかり。混乱していて、彼女の言葉も何も、耳に入っていなかった。理解の範疇を逸脱した存在を前にした人間ならではの反応だった。
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