第一章

4/6
前へ
/53ページ
次へ
 そして、天使に生まれた者こそが天使職に、悪魔に生まれた者こそが悪魔職に就くのが天界での常識だった。なぜなら、天使として生まれた者は人を幸せにする『天使職』に就くに相応しい性質を備えてくるのが当たり前で、それこそ人が人として生きるのが当たり前であるようなものだ。  それが常識という概念で括られているのは、昔は天使が天使の仕事をこなし、悪魔が悪魔の仕事をこなすのが種としての存在意義だったのだが、現在は天使と悪魔が職業化されて天使が天使の仕事をしなくてもいいようになったからだ。逆もまた然り。  つまりは、昔の概念が常識という名の固定概念を生み出したわけだ。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

208人が本棚に入れています
本棚に追加