第一章

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第一章

 天使職統括機構二七一号館、一階ロビー。  リノリウムの床に真っ白な壁と天井で構成された一階フロアは、壁際に配置された幾つもの長椅子とも相まって、病院を思わせる内装だった。清潔感のあるロビーをせわしなく行き交い、あるいは売店や自動販売機で飲み物を購入して長椅子に腰を落ち着ける者達は、背に純白の翼を生やした天使と、人間と姿形の変わらない天人である。  そこは『天使職』に就く者達の仕事場であり、サポートセンターであり、養成施設でもあった。天使職に関わる者が、昼も夜もなく常時千人はいる場所だ。
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