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依頼人(クライアント)と約束した酒場で会った後、クロノたちはその場で遅い昼食を食べていた。
「おい、クロノ。これからどうするんだ?」
レインは酒場で頼んだ発泡酒を口に運びながらクロノに尋ねる。
「何を??」
「金だよ。さっきの依頼人(クライアント)だってあんま金くれなかったしさ。そろそろ俺らの資金もやべぇぞ」
レインの言葉にクロノは軽く彼を睨む。
今回の依頼の魔族退治は本当は10万イェンの報酬金が貰えるはずだった。
しかしレインが依頼人と口論になったため前金の3万イェンしかもらえなかったのだ。
金銭的にも金に余裕がないため、レインのした行動は腹ただしいが、文句を言っても仕方がないが妙案がなかなか思いつかない。
「武闘大会開催のお知らせ」
「「ん??」」
ミッシェルの急な言葉に男2人は視線を彼女に向ける。
手を見ると紙切れを一枚持っていてそれに書いてある文を読んでいるようだ。
「腕に自身のある者達よ、王都ミュレルで名誉の1位に輝いたものには1億イェン……」
「一億イェンだって!?」
「……の賞金を贈る」
レインはミッシェルから紙切れを奪って確認すると、確かに一億イェンと大きく書かれている。
「クロノ!これだってッ!!1億もあれば遊んで暮らせる」
「ミュレルか……まぁここから近いしいいか」
「決定だな。じゃあ次の目的地は王都ミュレルだ!!」
目を爛々と輝かせると、レインはクロノの腕を引っ張りながら席を立つと酒場から出て行く。
最後に会計を済ませて酒場を出たミッシェルは生暖かい風に王都のある西を向いた。
風は西から吹いている。
「…………何か起こりそうですね……」
しばらくそこに立っていたが、やがてクロノたちの後を追うためにミッシェルはその場を後にした。
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