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ダイはわたしの腕を掴んだ手に力を入れる。
「…離して…。」
わたしはダイと目を合わせずに言う。
「キミ…
こっち見ろよ。」
ダイの低い声がわたしを呼ぶ。
「ダイくん。」
アオイがダイの名前を呼ぶ。
ズキン…ッ
「…ッ」
それだけでまた胸が痛む
「…おまえさ…
今何考えてんの?
俺には全然わかんねぇんだけど。」
ダイの視線を痛いくらい感じる。
「ただ泣いて、作り笑いして…
それじゃわかんねーって。」
「ダイくん!」
アオイがダイを止めようとする。
「万引きのことも、家のことも、ずっとおまえが言うまで待ってんだけど?
半年以上一緒にいて何で俺はおまえのこと何も知らねぇの?」
「…。」
わたしはダイが恐くて顔を上げられずにいた。
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