♥見上げてごらん♥

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後ろを振り返ると山本が立っていた。 「…山本さん…。」 「随分捜したんですよ!?」 「…ごめんなさい…。」 わたしは素直に謝る。 「… 今日は旦那様も奥様も帰っておいでになります。」 山本はわたしに真っ白なハンカチを渡しながら言う。 「そのようなお顔をされていてはお二人とも大変心配されます。」 「…するかな…心配…?」 わたしは山本を見て苦笑する。 「当然です!」 山本は眉間にシワを寄せる。 「ここ半年間わたしの寿命がどれだけ縮んだことか… 夜中にこっそり抜け出されたと思ったら、塾は辞めるとおっしゃる。 進学先も突然変更。 留学もおやめになる! ようやく卒業式を迎えられたと思えば式の途中で逃亡!」 「…。」 わたしは山本さんに圧倒される。 .
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