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後ろを振り返ると山本が立っていた。
「…山本さん…。」
「随分捜したんですよ!?」
「…ごめんなさい…。」
わたしは素直に謝る。
「…
今日は旦那様も奥様も帰っておいでになります。」
山本はわたしに真っ白なハンカチを渡しながら言う。
「そのようなお顔をされていてはお二人とも大変心配されます。」
「…するかな…心配…?」
わたしは山本を見て苦笑する。
「当然です!」
山本は眉間にシワを寄せる。
「ここ半年間わたしの寿命がどれだけ縮んだことか…
夜中にこっそり抜け出されたと思ったら、塾は辞めるとおっしゃる。
進学先も突然変更。
留学もおやめになる!
ようやく卒業式を迎えられたと思えば式の途中で逃亡!」
「…。」
わたしは山本さんに圧倒される。
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