寒い季節には…

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  確認する様に呟かれた佐助の声に気付いた人物が、ゆっくり佐助に視線を向ける。     「…武田か」     低い、渋みのある良く通る声で佐助に答えたこの人物は、片倉小十郎。佐助の通う高校の教師であり、クラスの担任でもある。 そして、幸村と仲のよい佐助と同級生の伊達政宗の保護者でもある。     「夕飯の買い物?」     佐助も幸村も政宗を通して片倉とはかなり付き合いがあるため、学校以外では砕けた口調で話す事が常になっている。 なので、佐助の言葉遣いを気にしている様子はない。     「あぁ…そうだ…お前もか?」     強面の男が買い物籠を片手に、というのはかなりの違和感がある。が、人は見た目で判断出来ない、という言葉を如実に表している人物の代表ではないかと佐助は内心思っている。     初対面は、この顔に驚いた記憶がある。こんな人が本当に教師なわけぇ!?と… そのため、最初は避けまくった。しかし、幸村の部活の先輩、政宗が武田家に遊びに来た際、側には何故かこの男が野菜を片手に立っていたのだ。 その姿に唖然としながら野菜を受け取った記憶がある。
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