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発端
ミシェルが図書館を歩いていた。
だが入口にはちゃんと、
【関係者以外立入禁止】
の文字が書いてある。
といっても、彼は今は只の魔王の側近。
関係者であるはずがない。
何故ならここは、天界なのだから。
「お前、また来たのかよ。
ルナ!お目当てのやつはあっかのか?」
からかいながら神は言った。
明らかに馬鹿にした態度である。
ミシェルは笑いながら本を一冊取り出した。
「お、お前それ……!」
「見ての通りですよ。」
根に持っているのか、
ミシェルは口に笑みを浮かべた。
そして、そっと本を開く。
そこには一人の青年の話が描かれていた。
だが、真っ白なページもあり、
そのページに今でも文字が綴られている。
上級の神だけが見ることを許される
人間の一生を綴っている本。
名前を、【英雄伝】という。
「ルナ!お前何するつもりだ!」
「わかりませんか?
彼に夢を見せてあげようと思うだけです。」
「黒木黒屡……。こいつに何をする気だ?
転生したばっかなんだろ?
今死んでもいいのか?」
「あなたは何も見ていない。
そうでしょう?神。」
その発言に神は驚いた。
だが、それ以上何も言えなくなる。
ミシェルは微笑むと、新しいページを開き、
詠唱を始めた。
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