烈火

20/26
前へ
/310ページ
次へ
 阿修羅王のサブモニターには、ヴァジュラパーニの被弾状況や損傷などが写し出されていた。 元々は、雷電が三人の監視のためにつけたものであったが、いまはそれ以外の用途で役に立っていた。 雷電(ヴァジュラパーニの損傷が激しいな。いくら阿修羅王がヴァジュラパーニの複製機だとしても、まだあの機体にはASAの技術が詰まっている。ここで殺られるわけにはいかないな…)  雷電は阿修羅王をヴァジュラパーニのほうへと走らせると、通信を開始した。 雷電「高氏、高円寺、妙法院、作戦をプランDに移行だ。聞こえるか?」  三人には、雷電の通信など聞こえてはいなかった。 飛び上がって斬り込んだ斬龍が地面に着地すると同時に、コックピットの破壊された場所から破片が飛んできて、高氏の左目をかすった。  高氏は雄叫びに近い悲鳴をあげる。 高氏「うああああああぁぁっ!!」 高氏の左目からは血が流れだし、高氏はそれを左手で必死におさえながら、痛みにこらえられずに悲鳴をあげつづけた。  その悲鳴は、相澤のもとまで届いていた。 相澤「えっ?」 相澤はハッとした。すぐにメインカメラの倍率をあげて、ヴァジュラパーニのコックピットを見た。そして、痛みに苦しむ高氏を見たとき、目を見開き、信じられないものを見たかのように硬直した。 相澤「うそ…、翔悟くん…」
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

800人が本棚に入れています
本棚に追加