烈火

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 雷電の言うとおり、武井は通信の一部始終を聞いていた。もちろん、大石准将もだ。 大石准将「なるほどな。武井、お前が私を呼んだのはこのためか」 武井「どうやら、予想は的中してしまったらしいな」 大石准将「それで、どうするんだ?北条院 雷電が言うように、部隊を撤退させるのか?」 武井「奴は本気らしいしな」  武井はため息をついた。 武井「全部隊に撤退を指示しろ」  斬龍隊にも撤退命令が下された。だが、三人のパイロットには聞こえてはいなかった。  上川は焦りながら通信をしていた。 上川「三人とも、応答がありません!」 佐田「自我を失っているな、あいつら」 鈴木「どうするんスか!?撤退命令が下されているんですよ?!」 捺川「三人を信じるしかないな…」 大石は、運転席に座る陳の横まで歩みよった。 大石「OATは後退させるぞ」 その言葉に、高木と三沢が反発した。 高木「待ってください!まだ三人は後退していないんですよ?!」 三沢「見捨てろと言うのですか!?」 椎羅木「信じるからこそ!…信じるからこそ、後退しなければいけないのだと思います」  珍しく、椎羅木は強気だった。今までになく真剣で、自分の意見をまっすぐに言う椎羅木に、OATに乗る皆が制された。 だが、椎羅木は今にも泣きそうな顔をしていた。
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