烈火

23/26
前へ
/310ページ
次へ
 皆が黙りこんでしまったが、陳は何も言わずにアクセルを踏みこんだ。  いまは、三人を信じるしかない…。  自我を取り戻した光円寺が、雷電からの通信を聞いていた。 光円寺「プランD…、基地を放棄して撤退…」 光円寺は息切れしながら声をだす。  光円寺の脈拍はものすごく早くなっていた。いまにも心臓が爆発するのではないかと思うほどだ。 まだ光円寺の体は、さっきの斬龍の攻撃のせいで混乱していた。頭で物事を考えられても、体が言うことを聞かない。 手足はガタガタと震え、汗がどめどなく流れだし、脈拍にあわせた少ない量の連続したはやい呼吸が繰り返され、暑いはずなのに鳥肌が逆立ち、噴火するかのようにアドレナリンが突発的に頭に流れこむ。  これほどにパニックになるのは初めてだった。冷静な判断のできる光円寺でさえ、他の二人の事を考える暇さえない。  兵器に乗って、初めて"死の恐怖"を味わったのだ。 雷電「光円寺、ヴァジュラパーニのエスケープシステムを起動させろ。全てのコントロールをお前がやるんだ」 光円寺「了解…」  光円寺は言われるがままに3つのコントロールシステムを1つまとめた。エスケープシステムを起動させれば射撃コントロールは使用しない。移動だけに専念すればいい。
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

800人が本棚に入れています
本棚に追加