烈火

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 ━━数分後、雷電の言ったとおり要塞は爆音を響かせたあとに、崩落しながら激しく炎上しだした。 その炎は全てを焼きつくすかのように真っ赤で、黒煙が空を多いつくし、あっという間に要塞を廃墟にしてしまった。  要塞内に侵入した突入部隊の話では、すでに内部はもぬけの殻。外で戦っていた部隊も最小限の数しかおらず、最初から放棄されたようなものだったらしい。  これほどの規模の要塞を放棄するのは容易なことではない。理由は分からないが、ASAにとっては無駄な戦いになってしまったのかもしれない。  幸い、雷電の忠告により味方の被害は最小限で済んだが、何故あの時、雷電が要塞の放棄を教えたのか、それが謎のままとなった。  だが、この戦いは大きな区切りになったのかもしれない。 斬龍隊・ヴァジュラパーニ・北条院 雷電…。  これらの"キーワード"がこれからの戦いに関わってくるのは間違いない。少なくとも、斬龍隊にとっては因縁的なものとなるだろう。  迎えの輸送機のなかで、相澤は空を眺めていた。雨雲のような黒煙が無情にも空を覆っていて、まるで心の中をあらわすような、そんな空だった…。 ━━━━━━続く…
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