*1本の電話*

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『ふぅ…疲れたなぁ…』 葵はため息をついた。 宅配ピザの仕事についてもう時期1年が経とうとしていた。 以外と時間に追われる仕事で、生地作り、仕込みなどバタバタと仕事をこなす毎日だった。  そんなある日、仕事中に携帯がなった。 それは、幼なじみのサキからだった。 サキとは赤ちゃんの頃からの付き合いだ。といっても、とても仲が良いわけでもない。お互いあまり干渉しない、逆にそれがお互いにとって、よい関係だった。 「もしもし…」葵は電話に出た。 サキは「今、カイから電話くると思うから出て!」と一方的な内容だった。 『カイって……もしかして、柊 海?』 ヒイラギカイとは、サキの元彼だった。『なんで私に…電話なんか…なんの用なんだろぅ』少し不安だった。 彼は、地元ではかなり有名だった。葵と高校も同じだったが中退していて、たまにサキから彼の話聞く程度の接点しかなかったからだ 「わかったよ!でも、柊クンどうしたの?」と葵はサキに理由を尋ねた。 するとサキは少し不機嫌そうに「知らない。なんか、ピザの事だってさぁ」 『うん?!ピザの事?』葵もよく解らなかった。 サキと電話を切り、数分後知らない番号からかかってきた。『柊クンだ!!』葵は緊張した声で電話に出た。 「はぃ…もしもし」 「あっ!俺!柊!わかる?久しぶりだね」 久しぶりもなにも、話したのも初めてで、最後に見かけたのも高校1年の時だから…5年ぶりだった。 葵は、少し震えた声で 「うん!久しぶり!どうしたの?」と用件を聞いた。「チョリソーほしくてね!ちょっと内緒でもらえないかなぁ?」 チョリソーとは、辛いソーセージの事。葵は、そんな事か…っと思った。 「いいょ!店長に内緒で用意するょ」
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