同情

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昼になり、給食の時間。   今日の号令の係りは富男だった。   「い、いたいた…いただきます」   噛みながら富男が言うと、教室のあちらこちらから罵声がとんだ。   「給食ドロボー!」         「タダ飯食い!」 「こじき!」       「ウンコ!」        「ノミ!」 「ホーケイ!」   それを聞いて嬉しそうに、脇下は富男を見た。   (野見のやつ、落ち込んで泣き出すんぢゃねーべな?フヒヒ)     富男は、ひたすら給食にガッツイていた。 周りの悪口など全く耳に入っていない様子だ。   (あいつ…そったらに飯食ってないのかー、なんかかわいそうだべな。)     初めて湧いた感情だった。
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