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次の日、学校に行くと教室に富男の姿はなかった。
給食の時間になってもクラスメイトや、先生までもがそれについて触れない。
脇下は気が気じゃなかった。
(今日の給食はカレーなのに…野見の奴どうしたんだべか)
「先生!野見は今日どうしたんですが?」
耐え切れず急に立ち上がり質問した脇下に皆の注目が集まる。
「なんで野見ば気にするべな?」
ニヤニヤして聞いてきたのは、クラスのお調子者の藤間 力だ。
「別に意味はねーけどよ」
気まずそうに脇下が言うと、藤間はさらに続けた。
「おまいら、できてんでねーのが?ヒヒヒ」
「だ、だれが、誰があんな奴ば心配するのよ?貧乏でくせーやつば…」
ガラガラッ!
その時、誰かが教室に入ってきた。
「の…野見!?」
脇下は動揺し、絶句した。
(聞かれたべか?違うんだ…野見………ああ…)
そのまま、ヘナヘナと座りこんでしまった。
クラスが緊張に包まれる中、富男が言葉を発した。
「先生、僕の給食まだありますが?」
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