茜の空

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僅かにのぞく 狭い狭いその隙間から 夕焼け空が見えたのでありました ともすれば 中に潜む麗しき魔物達に 身も心も奪われがちになるかのような ギラギラと 目眩がする程に煌びやかに光る あのネオンサインの建物の群れから 少しだけ視線を転じてみますならば 深く 深く 胸の中にあの茜色が染みこんでくるのでありました ビルディングより ずっと ずっと どこまでも高いあの空の ふんわりと のんびりと 静かに行き過ぎる雲の中にも 茜はじわじわと 深く 深く 染み入るのでありました その何もかも侵食していく無限の営みは 抗し難い不思議な心地よさを以って この体を ゆっくりと かたく 縛りつけていくのでありました 2001.1.12
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