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岸辺にて
暗い部屋 じゃれ合う子猫
君は今 僕の隣で
微かな寝息をたてている
ああ 溢れ出す悲しき運命
君は僕を抱いて 安らかに
時を刻む大きな時計
僕の視線はそれを避けるように
暗闇に瞳が馴染まぬように
そしてまた この瞬間にも
季節は流れていく
欲望という深い海で
君はきっと泳ぎ疲れて
辿り着いた岸辺で眠る 安らかに
忘れる筈の この細い腕
君は何処かで失くした
大切なものを探して
(1998)
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