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だるい授業も終わり放課後、紗英が私の所に駆け寄って来た。
『可憐ちゃん帰ろー』
私達は教室を出て近くのバス停まで、話しながら向かう。
『今日は稽古の日だっけ?』
『そうだよ。今度、大会があるからみんな気合い入ってるよ』
『可憐ちゃんはやっぱり出ないの?』
『うん』
私は大会には1回も参加した事はない。
私は大会に出て優勝したいんじゃない。
自分の事は自分で守れる人間になりたかった。
父の背中を見て育ったせいだろうか、小さい頃から私はそう思って父の稽古を受けてきた。
『まぁ、私が出たら優勝間違いないけどね!』
紗英にニコッと笑いかけた。
そんな話しをしている間にバス停に着き、少ししてバスが来て乗り込む。
学校から家まではバスで20分程度の距離だ。
その間も2人で話していると紗英が突然、私の袖をクイッと引っ張ってきた。
『どした?』
紗英に視線を移すと、今にも泣きそうな顔をして、小刻みに震えている。
……まさか!!
私は紗英のスカートに目を遣った。
……やっぱり。
思っていた通り、紗英の背後に立つサラリーマン風の男が紗英のスカートの上から、お尻を撫で回していた。
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