第2章

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私はその男の手首を掴み上に高く掲げた。 『なっ、何をするんだ!!』 私は男を睨み付けながら言った。 『大の大人が何してんの?!痴漢なんかして恥ずかしくない訳?!』 『なっ、何を言ってるんだ!ちっ、痴漢なんて私はしていない!』 往生際の悪い男……。 こうゆう男が居るから、私は自分を守れる人間になりたいんだ。 『やってない?よくそんな事を言えるわね』 私と男が言い合いになり始めた為、それに気付き周りがコソコソとざわめき始めた。 その時、何処からか声が聞こえてきた。 『ねぇ、おじさん……もう観念したら?俺もちゃんとこの目で見てたよ?』 その声の主は今朝、目が合った金城 耀だった。 『お客さんどうなさいました?』 騒ぎに気付いた運転手が、マイクで話し掛けてきた。 『痴漢です!バス止めてもらってもいいですか?』 それを聞いてバスは急停車した。 その止まった反動でよろめき、男の腕を放してしまった。 『あッッ!!』 その隙に男はバスを降り、早々と逃げてしまった。 『ゴメン紗英……逃げられちゃった』 『ううん……有り難う可憐ちゃん!あと、金城君も有り難うね!!』 バスは何事も無かった様に、再び走り出した。 .
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