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でも、私には何を言っているのかさっぱり分からない。
と言うか、余計分からなくなった気がする。
(そう言う事ってどう言う事?)
『まぁ、思う存分悩みなさい』
ガラガラ――
その時、教室の扉が開き先生が入って来た。
『はい、席に着いて』
結局、紗英に相談しても私の悩みは解決せず、より一層深みに嵌まった気がした。
その日の授業は最悪で、内容は頭に入らないし、先生に指されても上の空の私には答える事は出来ず、先生に心配される始末だった。
(もう……いや……)
全ての授業が終わり放課後、私は突っ伏す形で机にうなだれていた。
『可憐ちゃん……大丈夫?』
机の横にちょこんとしゃがみ込み、紗英が言う。
『大丈夫じゃない……』
私はうなだれたまま、顔だけを紗英の方に向け答える。
『ところでさぁ……』
紗英は教室をキョロキョロ見渡しながら言った。
『今日、一回も耀来てないね』
確かに……。
昨日は私達が何を言っても、引っ付いていた耀が、今日は打って変わり一回も来ていない。
そもそも、学校に来ているのかも分からない。
耀とはクラスが違うから、向こうから来なければ逢う事もないのだと今更ながら思った。
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