第14章

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『はい、お菓子とジュース』 そう言ってお母さんは私にお盆を手渡す。 『笙君ゆっくりしていってね』 お母さんはニッコリ笑い、下へと降りて行った。 私はお盆を持ったまま、まるで石になったように動けない。 『お帰り。入らないの?』 『はっ入るよ!!』 私は戸惑いながらも、やっと自分の部屋に入った。 取り敢えず、お盆をテーブルに置き、鞄を机の脇に置いた。 その間、視線を感じ、私は笙を見る事も、顔を上げる事も出来ない。 『座らないの?』 『すっ座るよ!!』 クスッと笙が笑う。 『何が可笑しいの?!』 『さっきから緊張しまくり』 『!!』 笙が余りにも余裕たっぷりで腹が立った。 『で、何の用?』 (ヤバイ……) 私は聞いた後に、後悔をした。 今、一番触れてはいけない事なのに、自ら墓穴を掘ってしまった。 『誰かさんがずっと俺を避けてるみたいだから、逢いに来た』 そう言って、笙は私を真っ直ぐ見た。 私は金縛りにあった様に、身動きが取れなくなってしまった。 .
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