第14章

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『だっだって……笙があんな事を言うから……』 『好きな奴?』 笙は恥ずかしがる様子も なく、サラリと言ってのける。 聞いてるこっちが恥ずかしくなり、顔に熱が集まるのが分かった。 『顔、真っ赤』 笙はクスッと笑いながら言う。 私は恥ずかしさのあまり、両手で顔を隠した。 『好きだよ。ずっと前から……可憐が好きだよ』 私は顔を隠した手を降ろし、笙を見た。 さっきまで悪戯っ子の様に笑っていた笙が、真っ直ぐ私を捕らえ目を反らせない。 私は何も言えずにただ、笙を見ていた。 『聞いてた?なんならもう一度言おうか?』 『いっいい!聞いてたから!もう言わなくていい』 私は、もう一度告白しようとしている笙を必死に止めた。 笙の気持ちは嬉しい。 けど、笙が私に対する“好き”と、私が笙に対する“好き”は違う。 『ごめん……笙の事は好きだけど、笙の好きとは違う』 私は笙に正直にありのままの気持ちを伝えた。 そうしなければいけないと思った。 『分かってた』 そう言いながら、笑う笙の顔が寂しく見えた。 .
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