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『アイツの事、好きなのか?』
(アイツ……耀の事だよね?)
『許してない……けど、嫌いじゃない……と思う』
『そうか……最後に一つだけ』
笙は少し悩んでから、口を開いた。
『この前、だだのキスって言ってたけど、アイツにキスされたのか?』
(……?)
何で今更、聞くのか私には分からなかった。
(笙はあの時の事を知って…………あっ!!)
笙は知らない。
あの時、何かあった事を知ってるだけで、何があったのかは知らない。
『えーっと……はい』
私は悩んだ末、素直に答えた。
その瞬間、ゾクッと背筋に悪寒が走る。
笙だ……
笙から殺気を感じる。
『やっぱり……実際、本人から聞くと怒りで我を忘れそうだ』
私はそう言う笙に不安を覚えた。
そして笙は私を見てクスッと笑い、私の頭をポンポンと子供をあやす様に触った。
『そんな不安な顔すんなよ。アイツを殴りに行ったりする訳ないだろう?それに殴る資格なんて俺にはない』
その言葉を聞き、私はホッと胸を撫で下ろした。
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