第14章

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『……可憐』 『何?』 『これからも幼なじみとして宜しくな……じゃあ、俺帰るよ』 笙はそう言って立ち上がり、部屋を出ていった。 私も立ち上がり、のそのそとベッドに近寄り正面からボスッとベッドに倒れ込む。 (嫌いじゃない……か) 自分で言った事に少し驚いていた。 嫌いだと思っていたのに、口から出てきた言葉は“嫌いじゃない”。 一週間、顔を合わせないと“寂しい”とさえ感じる。 (……どうかしてる) 私は起き上がり、携帯を手にし、電話帳を開き名前を捜し電話を掛けた。 プッ……プッ……プッ トゥルルルル……トゥルルルル…… 携帯から無機質な機械音が耳へと響く。 4コール程した時、電話相手が出た。 『もしもし……可憐だけど』 『どうした?』 『今から行っていい?』 『……いいよ待ってるから早くおいで』 私は電話を切り、鞄を手に取りリビングに居るお母さんに「ちょっと出掛けてくる」と言い残し、言えをあとにした。
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