第14章

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家を出て30分程で、目的の場所に到着した。 私の目の前にあるドアには、相変わらず“Close”の札がぶら下がっている。 喫茶店(はるひ) 尚兄は本当に喫茶店を営業しているのだろうか……。 実際、営業中だったのは、奈美先生と初めて来た時だけで、その後、何回も遊びに来たが全て閉店。 (こんなんで経営成り立ってるのかな……) そんな余計な心配をしながら、私はドアを開けた。 『いらしゃい』 尚兄が笑顔で迎えてくれる。 私は、指定席になりつつある、カウンター席に座った。 『尚兄、ごめんね?』 『暇だったしいいよ。飲み物はいつものでいい?』 私はコクリと頷く。 『ねぇ……来る度にCloseだけど、営業中の時ってあるの?』 『ちゃんと営業してるよ。閉店時間が決まってないから、俺が閉めたい時に閉めてる。可憐の来るタイミングがたまたま閉店時間なだけだよ』 尚兄はアイスティーを作りながら、クスッと笑った。 『でも、可憐に心配されちゃったら俺も終わりだな』 『酷ーい!何それー!』 嘘だよと言いながら、尚兄は出来上がったアイスティーを私に差し出した。 .
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