8130人が本棚に入れています
本棚に追加
家を出て30分程で、目的の場所に到着した。
私の目の前にあるドアには、相変わらず“Close”の札がぶら下がっている。
喫茶店
尚兄は本当に喫茶店を営業しているのだろうか……。
実際、営業中だったのは、奈美先生と初めて来た時だけで、その後、何回も遊びに来たが全て閉店。
(こんなんで経営成り立ってるのかな……)
そんな余計な心配をしながら、私はドアを開けた。
『いらしゃい』
尚兄が笑顔で迎えてくれる。
私は、指定席になりつつある、カウンター席に座った。
『尚兄、ごめんね?』
『暇だったしいいよ。飲み物はいつものでいい?』
私はコクリと頷く。
『ねぇ……来る度にCloseだけど、営業中の時ってあるの?』
『ちゃんと営業してるよ。閉店時間が決まってないから、俺が閉めたい時に閉めてる。可憐の来るタイミングがたまたま閉店時間なだけだよ』
尚兄はアイスティーを作りながら、クスッと笑った。
『でも、可憐に心配されちゃったら俺も終わりだな』
『酷ーい!何それー!』
嘘だよと言いながら、尚兄は出来上がったアイスティーを私に差し出した。
.
最初のコメントを投稿しよう!