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『まぁ、俺の話しは置いといて、お嬢さんは何をお悩みですか?』
私は尚兄に、この前と今日の出来事を話した。
話している間、尚兄は時々、相槌を打ちながら黙って話しを聞いてくれていた。
『……成る程ね。で、好きって物が分からなくて、俺に聞きに来たって訳だ』
私はコクリと頷く。
『じゃあ、一つ質問』
『……うん』
『彼が女の子と、仲良く腕を組み楽しそうにしているところを、可憐が見てしまいました。どう感じる?』
(耀が女の子と仲良く……)
想像したとたんに、何とも言えない感情が、ジワリと広がる。
それと同時に、胸が苦しくなった。
『……何か……ムカツク』
私はポツリと呟く。
それを聞いて、尚兄がクスリと笑った。
『何笑ってるの?!』
『だって……相談も何も、答えは出てるじゃないか』
『答えは……出てる?』
尚兄はまだクスクスと笑っている。
『もう!何なの?!』
『そんな可憐に最後のヒント。どうしてムカツクか良く考えてみな?』
良く考える?
良く考えても分からないから、尚兄の所に来たのに……。
悩みが解決するどころか、また一つ悩みが増えてしまった。
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