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次の日、いつもの様にバス停に向かうとそこには……。
『おはよう』
紗英ではなく耀が居た。
一週間振りに逢った耀は、いつもと変わらずそこに居た。
『……おはよう』
私は顔を見る事が出来ずに俯く。
顔は赤くなっていないだろうか……。
『一週間、俺に逢えなくて寂しかった?』
私の顔を覗き込みながら耀が言う。
『なっ!全然!!ちっとも寂しくありませんでした!!』
そう言って、私は顔を背ける。
寂しかったなんて、口が裂けても言える訳がない。
『そこまで否定しなくても……』
横目で耀を見ると、シュンと落ち込んでるいる。
その姿が仔犬みたいで、可愛く見えた。
『ところで、一週間何してたの?』
『えっ?気になる?』
さっきとは打って変わり、パッと耀の表情が明るくなる。
その瞬間、私には耀の頭に犬耳とフワフワな尻尾が見えた気がした。
(ここに仔犬が居る……)
『気になりません!』
『いやぁ、親父が突然、仕事手伝えってさぁ』
『だから、気にならないから話さなくていいし』
『嫌だったんだけど……』
私の話しを聞かずに、耀は話しを続けた。
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