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『コッチまで暗くなるからいい加減にしてくれる?』
紗英……
今日も一段とキツイ一言だね……。
「まぁまぁ」と紗英を宥め、耀の方を向く。
『耀……紗英をこれ以上、怒らせないで……』
何気に、紗英は怒ると怖い。
“いつも温和な人が怒ると手がつけられない”とは良く言うが、紗英がそうなのだ。
『彼氏より友達を取るんだな……』
『誰が彼氏だ!!っうかキャラ違くない?』
『コッチが素だ』
何故か胸を張り、偉張り口調で耀が言う。
そんなたわいもない話しをしている内に、バスは学校の近くのバス停に着き、私達は学校へと向かった。
校門をくぐり、昇降口で上履きに履き変える為に、下駄箱の蓋を開けると、上履きの上に一つの封筒が入っていた。
その封筒を私は手に取った。
封筒は綺麗な水色をしていて、可愛いらしいシールで封がされている。
『まさかラブレター?誰から?』
右隣に居る紗英が、手元の手紙を見て言う。
裏を見ても差出人の名前は見当たらない。
『ラブレターじゃないと思うよ』
私は手紙を見詰めながら紗英に言った。
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