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『ラブレターじゃなければ何?』
紗英が首を傾け聞いてくる。
『果たし状』
『……はいっ?』
驚く紗英に私はニッコリ笑う。
『どうかしたの?』
上履きに履き変えた耀が、後ろから声を掛けてきた。
『ううん。何でもない』
私は慌てて手紙をスカートのポケットに捩込んだ。
『さっき、ラブレターとか何とか聞こえたけど……』
『さっ、紗英!紗英がラブレター貰ったんだよ。ねぇ、紗英?』
私は咄嗟に紗英に話しを振った。
『えっ?あっ、うん!そうそう私が貰ったの』
『ふーん……』
『ほら、教室行かないと!』
私はこれ以上、耀に検索されるとまずいと感じ、早めにこの場から離れたかった。
私達は階段を上り、教室がある2階で足を止める。
耀は左、私と紗英は右に、各々のクラスに向かう。
教室に入り席に着き、鞄から教科書等をしまう。
そして、さっきポケットに捩込んだ手紙を取り出す。
捩込んだせいで、手紙は少しシワが寄っていた。
封を開け、中から便箋を取り出す。
二つ折りになっている便箋をゆっくりと開くと、可愛いらしい文字が目に飛び込んできた。
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