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《羽山 可憐様
今日の放課後、屋上にてお待ちしております。
誰にも言わずに、一人で来て下さい。》
手紙にはそう書かれていた。
差出人は書かれていない。だが、私にはこの手紙の差出人が誰なのか、ある程度の予測が出来ていた。
私は便箋を再び封筒へと戻し、今度は鞄の中へと仕舞う。
(屋上ねぇ……)
『可憐ちゃん、さっきの手紙何だったの?』
教科書などを仕舞い終わった紗英が、私の前の席に座りながら聞いてきた。
『やっぱ、熱烈なラブレターだった』
『ねぇ、誰から?』
楽しそうに紗英が聞く。
『名前無し。だから、今日は先に帰ってて』
『えー!邪魔しないから隠れて見てていい?』
紗英は目を輝かせながら、私に聞いてきた。
『紗英……いい訳ないでしょ』
私は溜息混じりに答えた。
「ケチっ」とブツブツ文句を言いながら紗英はふて腐れている。
紗英を巻き込む事は出来ない。
それに、誰にも言わずに一人でと書いてあった。
きっと、誰にも邪魔をされたくないのだろう。
――ガラッ
戸の開く音と共に担任が教室に入る。
紗英は「後でね」と言って自分の席へと戻った。
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