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あの時……。
耀と話しをした時、私に“許さない”と言った双子の姉妹。
『率直に言うわ。耀と別れて』
『耀は私達のよ』
二人で私を睨み付る。
その眼差しは本当に私を恨んでいる瞳……。
『何とか言いなさいよ!』
『耀は……あなた達の物じゃない』
『じゃあ、羽山可憐!アンタの物とでも言いたい訳?!』
片方が私の言葉に食ってかかる。
『椿、落ち着きなさい』
食ってかかって来たのは椿らしい。
楓は椿とは逆に、怒りも見せずに淡々としている。
私はそれが少し怖いと思った。
『耀は物じゃない。それに、アナタ達から離れると決めたのは耀自身だよ』
『そうね……でも、アナタから耀の元を離れれば、私達の所へ戻って来てくれる。耀も目を醒ましてくれる』
そう楓は言い、続けて言葉を紡いだ。
『耀は今まで私達と一緒だった。これからもずっと一緒のはずだった……。それを……アナタが壊した……。』
淡々とした口調とは裏腹に、怒りを露らにした眼光。
私は背筋に悪寒が走るのを感じた。
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