第1章

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ジリリリ… 目覚ましの音で目が覚める。 煩く鳴る目覚ましを止め、両手を上げて伸びをする。 『んー今日も良い天気』 私は羽山 可憐(ハヤマ カレン) 今日から高校最後の一年が始まる。 私は意気揚々と支度をして、リビングに行った。 『お母さんおはよう』 『可憐ちゃんおはよう』 『お父さんまだアソコ?』 『そうなのよ…呼んできてくれる?』 「はーい」と返事をして、父の居る所へと向かった。 玄関を出て少し行くと、道場が見えてくる。 私の父は、武術の師範で子供達に教えいて、私も小さい時から教え込まれた。 そのお陰で、そこら辺の男には負けない程に強い。 そんな父は毎朝、精神統一をする為に道場にいる。 『失礼します……』 戸を開けると、父が道場の真ん中で座禅を組み、瞑想をしていた。 静かな道場に、ピンと張り詰めた空気が流れている。 『おはようございます師範』 道場に居る時は、どんな時でも父を師範と呼んでいる。 それは私が、普段の父と稽古の時の父に対するケジメをつける為だ。 父は立ち上がり、私の方へ向かって来た。 そして目の前まで来ると、優しく笑い「おはよう可憐」と師範から父の顔へと変わる。 私はそれをみて笑顔で返した。 『さて、母さんが待ってるから行こうか』 私と父は母の待つリビングに向かった。 .
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