第1章

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学校に着くと、校庭の一角に人集りが出来ていた。 私は気になり、人集りの中から適当に男の子に声を掛けた。 『ねぇ…朝からどうしたの?』 声を掛けた男の子は、騒ぎの元が気になるのか、振り向きもせずに答える。 『何か、振られた男が女と言い合いになってるみたいです』 そう言いながら中を見ようと、その場でピョンピョン跳ねていた。 『見せもんじゃねぇんだよ!!』 人集りの中心では、騒ぎの元となっている男が、野次馬に怒鳴り散らしている。 私は溜め息を吐き、鞄を後ろに居る紗英に手渡した。 『直ぐに戻ってくるから持ってて』 『手加減してあげてね』 紗英の言葉に振り返り、笑顔で応え人を掻き分け中心へと向かった。 『おらぁ!!テメェら見せもんじゃねぇんだよ!!散れよ!!』 中心に辿り着くと、まだ男は怒りが収まらないのか、怒鳴り散らしていた。 一方、女の子はビクビクして泣いてしまっていた。 私は直ぐに女の子に駆け寄り声を掛けた。 『大丈夫?もう平気よ』 『羽山ッ…先…輩…ッ?』 私は女の子に優しく笑いかけ、男を睨み付けた。 .
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