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私は制服に付いた埃を払い、女の子に声を掛けた。
『もう大丈夫。また何かあったら私の所に来なさい……ね?』
『はい、有り難うございました!』
女の子は深々とお辞儀をして校舎へと消えて行った。
『はい。可憐ちゃん鞄』
『有り難う紗英』
周りを見ると野次馬達は居なくなっていた。
ただ……
女の子を周りにはべらせ、私を見る男が居るだけだった。
背は高く、さっきの男と同様に遊んでいますといった感じの、私の嫌いなタイプの男……。
私は気になり、男を見た。
すると目が合った……。
何故か目をそらす事が出来なかった。
まるで金縛りになってしまったかの様だった。
『……ゃん?可憐ちゃん!』
紗英の呼ぶ声でやっと身体が動いた。
『どうしたの?』
『ねぇ紗英……アイツ知ってる?』
私は男に気付かれない様に、紗英に聞いた。
紗英はチラッと見て「あぁ……」と軽く頷いた。
『金城 耀(カネシロ アキラ)君だよ。可憐ちゃんと人気を2分してる4組の人』
『ふーん……そう』
『それがどうかしたの?』
『別に……ちょっと気になっただけ。ヤバッ!遅刻しちゃうよ』
私達は教室へと急いだ。
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