第1章

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まぁ、今も人集りで姿はちっとも見えない。 『『ねぇー行こうよう!』』 双子ならではのハモリで催促する。 俺はシカトして人集りを見ていた。 すると少しだが中心が見える程度の隙間が出来、羽山 可憐の姿が見えた。 丁度その時だった。 男が羽山 可憐に殴りかかった。 だか、心配するどころかいつの間にか男は地面に仰向けで倒れ、顔面スレスレで羽山 可憐の拳が止まっていた。 『やるねぇ~。気に入った……』 男は尻尾を巻いて、その場から立ち去って行った。 呆れ顔で羽山 可憐は女に近付き、何かを話したかと思えば女が深々と頭を下げ行ってしまった。 周りの野次馬も終わったと同時に、各教室へと戻って行く。 その野次馬の中からちまちました小さな女が、羽山 可憐に鞄を手渡した。 すると不意に羽山 可憐 がこっちを向いた。 視線がぶつかり合う……。 何故か俺は目を反らす事が出来なかった。 こんな事は初めてだ……。 『耀……耀!!遅刻しちゃうよー!』 楓に声を掛けられ我に返った。 『そうだな……。行こうか』 気付くと俺の周りには楓と椿以外にも、取り巻きの女子が集まっていた。 羽山……可憐……か……。 .
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