8130人が本棚に入れています
本棚に追加
まぁ、今も人集りで姿はちっとも見えない。
『『ねぇー行こうよう!』』
双子ならではのハモリで催促する。
俺はシカトして人集りを見ていた。
すると少しだが中心が見える程度の隙間が出来、羽山 可憐の姿が見えた。
丁度その時だった。
男が羽山 可憐に殴りかかった。
だか、心配するどころかいつの間にか男は地面に仰向けで倒れ、顔面スレスレで羽山 可憐の拳が止まっていた。
『やるねぇ~。気に入った……』
男は尻尾を巻いて、その場から立ち去って行った。
呆れ顔で羽山 可憐は女に近付き、何かを話したかと思えば女が深々と頭を下げ行ってしまった。
周りの野次馬も終わったと同時に、各教室へと戻って行く。
その野次馬の中からちまちました小さな女が、羽山 可憐に鞄を手渡した。
すると不意に羽山 可憐 がこっちを向いた。
視線がぶつかり合う……。
何故か俺は目を反らす事が出来なかった。
こんな事は初めてだ……。
『耀……耀!!遅刻しちゃうよー!』
楓に声を掛けられ我に返った。
『そうだな……。行こうか』
気付くと俺の周りには楓と椿以外にも、取り巻きの女子が集まっていた。
羽山……可憐……か……。
.
最初のコメントを投稿しよう!