人類への宣告

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「よう、久しぶりだなお気に入り…………ん?猫娘はなにやってんだ?」  キュラは床で眼に涙を溜めているリンに、純粋な疑問の眼差しを向けた。  その隣ではトラントが笑いを押し殺している。なるほど、確信犯か。 「そういや仕事ってなんだよ。シロとキュラまで連れてきて」 「あぁ、前にカナンの王がヴァンパイアだって話しただろ?」  グレンの疑問に答えたのはキュラだ。まあグレンたちに伝えたのはトラントなんだけどな。 「そこで光り輝く運命のメンバーに捜査させてたんだが………証拠が見つかった」  キュラの言葉を継いだトラントの声は暗い。信じたくなかったんだろう。 「カナンで一滴も血のない死体が見つかった。被害者は女性、首筋には牙のあとが見受けられている。更にカナンでは定期的に女性が行方を眩ますらしい。これでカナンにヴァンパイアがいることは間違いないな。  あとカナンでは王の顔を知るものは側近の大臣一人だけらしい。事実上国を動かしてるのは大臣ってことだ。  そしてキュラの証言ではカナンの王はヴァンパイア、これほど信用できる証言なんだ。まず真実なんだろうな」 「つまりカナンの王様がヴァンパイアで、大臣が協力者ってことか?」「そうなるな」
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