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「ライル!避けて!!」
グレンと同じような台詞、俺は翼を上手く使って少し降下した。
俺の頭上を光り輝く矢が通り抜ける。ネールが放った矢は、ヘルベロスの片首のたてがみを半ばほどから断ち切った。ついでに俺の髪を少しだけ持っていって。
グレンとネール、まさかわざと俺を狙ったんじゃないか?
俺はそんな邪念を振り払うと、すぐにヘルベロスへ向かおうとした。だがそれはかなわなかった。
突然背中に軽い衝撃がかかり、次の瞬間には下に蹴り落とされる。
「ごめんね」
一言だけ残したリンは、俺の背中を踏み台にしてヘルベロスへ向かって跳ぶ。
こいつらは俺を何だと思ってるんだ?
リンはヘルベロスの額を踏んで更に跳躍し、ヘルベロスの背中へと降り立った。空中にいたヘルベロスに抵抗するすべはなく、されるがままだ。
そしてリンは下にいるときに装着したと思われる岩の手甲がついた腕、それを振り上げヘルベロスの背中へ打ち下ろす。
骨の砕ける音とともにヘルベロスの悲鳴が遺蹟に響き渡った。そして殴られた勢いで床に打ち付けられる。
リンは上手いことヘルベロスの額に着地して、すぐに俺たち側に跳躍した。
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