419人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
しばらくしても動く気配がない。どうやら息絶えたようだ。
名前に地獄がつくわりには弱かったな。ってか俺って踏み台としてしか役にたってない気が………。
「おいリン、手に入ったのか?」
俺はグレンの声で、軽い憂欝から抜け出した。
声を掛けられた本人はというと、尻尾を揺らして満面の笑みを浮かべている。手は前に突き出され、掌の上には碧玉が乗っていた。
それにグレンは微笑み畳み掛けるように質問を重ねる。
「紅玉は?」
「…………へ?」
「だから、紅玉だよ。今回の依頼は碧玉と紅玉の回収だろ」
グレンの言葉にリンが狼狽(うろた)える。この様子だと紅玉は忘れてきたな。
「はぁ………行こう」
俺は俯き肩を震わせるグレンの肩を叩き、リンに怪しい部屋へ案内するよう促した。
最初のコメントを投稿しよう!