序章

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 しばらくしても動く気配がない。どうやら息絶えたようだ。  名前に地獄がつくわりには弱かったな。ってか俺って踏み台としてしか役にたってない気が………。 「おいリン、手に入ったのか?」  俺はグレンの声で、軽い憂欝から抜け出した。  声を掛けられた本人はというと、尻尾を揺らして満面の笑みを浮かべている。手は前に突き出され、掌の上には碧玉が乗っていた。  それにグレンは微笑み畳み掛けるように質問を重ねる。 「紅玉は?」 「…………へ?」 「だから、紅玉だよ。今回の依頼は碧玉と紅玉の回収だろ」  グレンの言葉にリンが狼狽(うろた)える。この様子だと紅玉は忘れてきたな。 「はぁ………行こう」  俺は俯き肩を震わせるグレンの肩を叩き、リンに怪しい部屋へ案内するよう促した。
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