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「アリスが嫌いじゃないの。アリスを安っぽく語る連中が嫌いなの」。私は私を弁護する。知らない町の雑踏。私にとっての不思議の国に、私は脚を降ろす。
どこの町に降りても同じ。あるのは地平線まで続いていそうな看板と、疲れた顔のスーツ姿の男たち。下手な日本語を叫ぶ長身の女たち。凡アジア的な、この光景が気に入らない。
昔、本で読んだ日本人中年の東南アジアへの幼女売春ツアー。タイにある日本人街や、そこに乱立するカラオケスナックでセーラー服を着せたタイ女をはべらす醜い中年の光景が思い浮かびそうな、今目の前にある町並みが気に入らないしクダラナイ。
「でも、どこに行っても同じ」。「どこぞの携帯小説じゃあるまいし、劇的な展開なんかあるわけないさ」、ウサギが答える。「あなた首がないのに喋れるの?」。私は抱えているウサギに訪ねた。
「首がなくたって、喋れるものは喋れるさ。おとぎ話じゃあるまいし」。ウサギは偉そうに返答する。
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