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電気屋のショーウインドウに陳列されたテレビは今日もクダラナイ報道ばかりを伝えています。教師の痴漢行為、政治家の女性スキャンダル、自分の下腹部を写真に撮ってメル友に送りつけた高校生、どこかの国の爆弾テロ。
そんなクダラナイことに、耳や目を向けるほど少女は暇ではなかったのです。クダラナイ今日の次にはクダラナイ明日がやってきます。「明日、不思議の国への案内人が来なかったら死のう」と心の中で繰り返す少女の後ろ姿は、クダラナイというよりは楽しそうでした。
明日になれば、またクダラナイ案内人が少女を起こして、クダラナイ歴史を語るのだろうと、少女は思いこんでいましたから。しかし、次の日、またクダラナイ案内人が少女を訪れるかどうかは、誰にもワカラナイのです。
彼女もいつかはクダラナイ恋をして、クダラナイ社会の一員になっていくのかもしれません。アリス症候群から卒業した時には、もう自分をクダラナイと思うことはないかもしれません。
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