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やっとの事で、土浦の家に二人してたどり着いた。
「ただいま~。」
土浦が言うが、家の中からの返事はない。
「あれ?誰もいないの?土浦。」
火原が不思議そうな表情で問いかける。
「そうなんすよ。家族は旅行中なんですよ。だから、遠慮なく入って下さい。風邪引いちまいますよ。」
土浦が、よっこらしょと玄関で靴を脱ぎ捨てた。
「そ~なんだ。じゃ、悪いけど、遠慮なく。」
よっと声を出しながら、火原も後に続く。
「お邪魔しま~す!」
「どうぞ。先輩」
廊下を歩きながら、後ろを振り返り、土浦はニッと笑って返した。
その表情に火原はなぜか、胸が熱くなるのを感じた。
土浦の家は、意外に綺麗に整頓されていた。
「わぁ~!俺ん家とは大違いだぁ!俺ん家、兄貴が二人もいるから、汚くってさ~。」
火原がキョロキョロと、話す。
(落ちつかないな…。俺、緊張してる?あれ?あれれ?)
火原は、一人体が熱くなるのを感じた。
気のせいだと、自分に言い聞かせながら…。
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