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次の日、土浦は疲弊した顔で練習室に向かった。腰や節々が痛い。
(先輩…。容赦なさすぎ…ってか、元気すぎ…)
「うぃ~っす!」
練習室の扉を開くと、日野が先に来ていて、火原先輩の姿はまだない。
「あ、土浦君!待ってたよ。火原先輩が来る前に、この箇所なんだけど…練習しておきたくてさ!伴奏お願いできる?」
日野が一生懸命に言うもんだから、付き合う事にしたのはいいのだが…。
椅子に座ろうとした瞬間、「いてっ!!」
思わず、叫んでしまった。
「大丈夫?何かあったの?」
日野が問う。
「い、いやっ!何でもねぇ。さ、行くぞ!」
伴奏を奏で始める。
「うん!」
それに合わせて、日野のバイオリンの音が響く。
その間に、突然、トランペットが入ってきた。
日野と火原と土浦は、最後まで、演奏した。
その後の日野の一言。
「二人とも、何か今日、艶っぽい音が出てたけど…。どうしたの?」
土浦は、ぶっと思わず、休憩に飲んでいたスポーツドリンクを吹き出し、火原は、「なんででしょう?」と爽やかな笑みを浮かべた。
二人の秘密。火原が土浦の心に転がりこんできた。
二人は、目配せしあい、笑った。日野は不思議がっていたが。
そんな幸せな空間。
二人はいつまでも、続けばいい、と互いにに思ったのだった。
終わり❤
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