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暗い森の中、風によって木がざわめいているなかで、男は力尽きたかのように座り込んだ。
空を見上げると月に雲がかかり、おぼろ月となっている。
秋も深まり、肌を刺すような寒さが、容赦なく男の体力を奪っていく。
あれから、もう5年か…
楽しい時間は、時間が短く感じるというが、あいつが突然、姿を消してから 1日が100年にも感じられる苦しく、そして切ない、長い時間を男は過ごしてきた。
こんなに苦しいなら恋愛なんて、しなければよかった…そう思う気持ちと、どうしても、もう一度会いたいという気持ちの間で、男は彼女を5年間も探していたのだ。
そして薄暗い森の中で、男の魂は今にも燃え尽きようとしていた。
初めて彼女に会った日も、こんな寒い日だったな…
まさかこうなるとは思わなかったけど
薄れゆく意識の中で男は、彼女との出会いをゆっくり思い出していった。>
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