第二章

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久しぶりに話したせいもあってか僕とユカリの話はとても弾んだ。 学校の事やテレビの番組の事、今お気に入りのアーティストや電子ブックなど話題は絶えない。 ユカリと話をするのは楽しい。 感情表現をする事が苦手な僕は表には出さないが、それでも今まで胸の中に巣くっていた黒くもやもやとした感情が霧散していくのを感じた。 ユカリ『で、どうしたの?コウちゃんから掛けてくるなんて、珍しいじゃん~』 コウ「別に……最近誰とも会話とかしてなかったから、声の出し方忘れたんじゃないかと思って」 ユカリ『あはは!コウちゃんたら面白~い! 』 コウ「…普通に、みんなと会って直接向かい合って、話せたらいいのにな」 ユカリ『え……なんで?』 コウ「…なんでって……」 ユカリ『だってこうやって顔を見ながら会話できるし、会って話すのとたいして変わらないじゃない?』 コウ「…ユカリはおかしいと思わないのかよ?昔は、外で遊んで直接お互いの体温が感じられるくらい近くで過ごしてたんだって、この前習ったじゃないか。 …ユカリだって好きな奴くらい、いるだろ?そいつと会話したりとか、その、 ……いろいろしたいとか、思うのが普通だろ」
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