第二章

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――違う コウ「……………や………くれ……」 ユカリ『え?』 コウ「……止めろ…。もうそれ以上、話さないでくれ……… もう、分かったから………。」 ――…違う。 ――僕が言いたいのは、そういうことじゃないんだ。 独りよがりな想像の世界に埋没するしか術のない世界。 インターネットの世界に本物は無い。 電子空間を飛び交う情報の真偽を確かめる方法なんてない。 情報はいくらでも偽装出来る。美化出来る。加工出来る。 そこに本物なんて無い。だから僕はネットを信用しない。 ユカリの言う現代のアタリマエに嫌気が差してるんだよ……。 ――ユカリは、わかってくれてるんだと 思ってた ユカリはまだ何かを言い続けていたけれど、その言葉はもうコウには届かなかった。 ユカリの顔を見ることもなく、コウは回線の接続を切った。 ……切断音が、まるで世界とコウとを断ち切るように響いた。
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