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――ユカリと回線を切った後、コウは呆然と座り込んでいた。
いまのユカリとの会話の断片がぐるぐると頭を渦巻き、深い喪失感と世の中に対する憎しみと怒りが湧き上がりそして、
急にどうでも良くなってしまった。
まるでマリオネットの糸が切れたかのようにプツンと、コウは全ての思考を切り離し無機質な顔でドーム状の天井を仰ぐ。
――僕は本当は分かっていたんだ
――僕がどれだけ憤ってみても、この世界は何も変わらない。
朽ち果ててゆくのみだ。
僕にはそれを止める術なんて、ない。
僕は、無力だ。
どれだけこの世の矛盾を叫ぼうと所詮は無駄な足掻き。
どれだけ世界の荒廃を嘆こうとそれは不可抗力。
―…僕に出来ることは、何もない。
ならば何のために、僕は生きている?
イキルイミスラナイノナラバ――…。
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