第三章

2/8
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
――ユカリと回線を切った後、コウは呆然と座り込んでいた。 いまのユカリとの会話の断片がぐるぐると頭を渦巻き、深い喪失感と世の中に対する憎しみと怒りが湧き上がりそして、 急にどうでも良くなってしまった。 まるでマリオネットの糸が切れたかのようにプツンと、コウは全ての思考を切り離し無機質な顔でドーム状の天井を仰ぐ。 ――僕は本当は分かっていたんだ ――僕がどれだけ憤ってみても、この世界は何も変わらない。 朽ち果ててゆくのみだ。 僕にはそれを止める術なんて、ない。 僕は、無力だ。 どれだけこの世の矛盾を叫ぼうと所詮は無駄な足掻き。 どれだけ世界の荒廃を嘆こうとそれは不可抗力。 ―…僕に出来ることは、何もない。 ならば何のために、僕は生きている? イキルイミスラナイノナラバ――…。  
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!