第一章

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――こんな取り返しのつかなくなる前に、過去の人達は何か対策をたてようとは思わなかったのだろうか。 ――いや、そう言えば環境問題が騒がれはじめてから、随分沢山の法律や条約が採択された、と歴史の授業で習った覚えがある。 ――……けれど、その結果が今この現在、この荒廃しきり今にも崩壊しそうな地球だというのか。 そもそも条約や法律に、意味はあったのか。 ――いくら法律を制定しても、所詮人の心までは縛れない。 政府がいくら法を創り、人々に勧告しても、人々は己が今過ごしている怠惰で快適な生活を捨てる勇気はなかったのだろう。 その結果、己の住まう場所の未来がどんどん救いようがなくなり、子孫がどんなに悲惨な生活を強いられようとも。 有害と分かっている物質をふんだんに使用し、その恩恵を受け恵まれた、自分の今が満たされていれば。 それで満足なのだ。 ――人は、自分勝手な生き物だから。
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